厳島神社の大鳥居が腐食しない不思議 なぜ倒れない腐らない?
2017/09/02
広島県の誇る観光スポット、宮島のシンボルといえば皆さんは何を思い浮かべますか?
海にそびえたつ朱塗りの優美で荘厳な厳島神社の大鳥居ではないでしょうか?
その大鳥居、なぜ海に建っているのでしょうか?
また、木材の鳥居は水中にあるにもかからず倒れたり腐らずにその立派な姿を長きにわたり見せ続けられるのでしょうか?
その秘密に迫ります。
厳島神社の鳥居が海にある理由って?
広島の宮島の世界文化遺産、1400年の歴史をもつ荘厳な厳島神社。
なかでもこの厳島神社の絶景スポットと言えば海にそびえたつ赤く荘厳な大鳥居を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
正式な神社へのお参り作法では鳥居を正面からくぐり参道を歩いて参拝します。
でも厳島神社の大鳥居は陸地でなく海の上に建っていますね。
あのそびえたつ朱塗りの美しい大鳥居はなぜ宮島の陸地ではなくて海に建っているのでしょうか?
それはもともと宮島自体をご神体と考えた昔の人々の信仰心のあらわれなのです。
宮島の陸地全体が「神様の宿る場所」とされ、その神聖なご神体を傷つけることはなりません。
鳥居を建築するために木を伐採したり、土地を掘ったりすることは神様への冒涜だと考えたのですね。
そこで宮島本土ではなく、海の上に大鳥居が建築されたとされています。
宮島に祀られる神様は「宗像三女神」、オキツシマヒメ、イチキシマヒメ、タギツヒメの三柱です。
この宗像三女神は海の神として海・航海の安全を守る神様とされています。
イチキシマヒメはこの厳島神社の名前の由来という説があります。
余談ですが他の地域にもイチキシマ神社は点在しています。
ちなみに東京の我が家の近くに善福寺川が流れていますが杉並区の善福寺公園にも「市杵島(イチキシマ)神社」があります。
また、厳島神社では潮が引いた干潮時には大鳥居まで歩いていくことができます。
普段は海に浮いている大鳥居の下での記念写真をとろうとたくさんの人が干潮時の絶景スポットを楽しみに待っています。
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厳島神社の鳥居どうやって建っている?
大鳥居は海の上に建っている木材ですからもちろん満潮、高潮、大雨、暴雨、台風といったことでダメージを受けます。
それでも神様の力で800年以上も腐らないまま朽ちずに立派にその姿を残している・・・わけでは残念ながらありません。
平清盛が1168年に造営した初代の大鳥居はこの長い歴史の間に何度か再建・修復されました。
現在ある姿は明治8年(1875年)に建て替えられた8代目の大鳥居になります。
この大鳥居、地震や台風が来ても倒れたり壊れたりしないのか疑問ですよね。
高さ16.6メートル、総重量は約60トンという大鳥居はどのように丈夫に建てられているのでしょうか?
厳島神社のシンボルの海に立つ大鳥居、実は海底に埋められているわけではないのです。
海の中に土台が海底深くしっかりささって建っているのではなく、海底に置いてあるのです。
大鳥居は「浮かんだように自立している」という状態なんですね。
大鳥居がバランスよく自らを支えていられるのはその重みのおかげです。
鳥居の上の部分(島木)は箱型になっていて、その中にも玉石を7トン詰められています。
この玉石を重しにして60トンの大鳥居は自らの足でどっしりと海に建っています。
また、ご覧になった方はお分かりになると思いますが倒れないための強い足となる柱は6本あります。
主柱とその前後にある袖柱合わせて6本の足と自重で大鳥居はしっかり自立しているのですね。
これが厳島神社の大鳥居がなぜ倒れないかの秘密です。
厳島神社の鳥居は腐食しない?
また8代目になるまで再建と修復がされてきたとしても、木造の大鳥居が水中でよく腐食して朽ちないものだと思いませんか?
あの大鳥居は木造じゃなくて実は鉄筋コンクリート?と思ってしまいそうです。
いえいえ、日本を代表する美しい建造物はやはり情緒のある自然の木材でできていました。
厳島神社の大鳥居の主柱に使われている木材は天然のくすのき(楠)です。
くすのきが鳥居の建材として選ばれている理由は、腐りにくく虫がつきにくいからです。
袖柱の部分にはスギの木が使われていますがこちらも水に強いということが理由です。
ただ、いくら腐りにくいと言ってもやはり何百年も海水の影響を受けた樹が腐らないということはありません。
水中にある鳥居の下の部分だけは70年ほど前に新しいくすのきに取り換えられたそうです。
次の修復・再建までにどれくらいの猶予があるのかわかりませんがくすのきは西日本に多く生息しています。
宮島でくすのきが植林されているという話もあり、つぎは宮島産の天然のくすのきでできた大鳥居がみられるかもしれません!
まとめ
厳島神社の大鳥居に関する「なぜ?」。
隠された秘密は大きくまとめると以下のとおりです。
- 厳島神社の大鳥居が海に建つ理由は宮島がご神体だから傷つけてはならないという人々の信仰心によるもの
- 厳島神社の大鳥居が倒れないのは鳥居自体の重さで海に自立しているから
- 厳島神社の大鳥居が腐らないのは水に強い木材であるクスノキとスギを使用しているから
長い歴史の中で災害や水害にも耐え、美しい姿を私たちに見せ続けてくれる厳島神社の大鳥居。
ここに先人の知恵はもちろんのこと、神様の見えない力が働いていると思いを馳せるのも良いかもしれません。
どうぞ楽しいご旅行を!
ご参考になれば幸いです。