服を着たまま泳ぐ着衣泳で再確認!泳げる人が溺れるのはなぜ?
服を着たまま水難事故にあった時に助かる方法を学ぶ着衣水泳(着衣泳)を習ったことがありますか?
服を着た状態でプールで泳いでみると、普段どんなに泳げる人も溺れる原因がわかりました。
着衣泳の講習で習った溺れた時に助かる重要なポイントと実際に服を着たまま泳いでみて感じたことをお伝えします。
水の事故 服を着ているのが深刻になる原因
水の事故の大半はプールではなく、海や湖、河川などの自然の水場で起こっています。
水深が調整され、安全性が守られている人工のプールでの溺死事故は全体の1%に過ぎないそうです。
多くの場合、自然の中での水遊び中、海や河川のそばを通行している時、釣りを楽しんでいる時などに自然の水難事故で命を落としているんですね。
つまり、その時はほぼ「洋服を着たまま溺れてしまう」状態です。
水の事故ではなんと80%近くの人が服を着たまま溺れて亡くなってしまっています。
よくあんなに水泳に自信があった人がなぜ溺れた?と聞くことがありますね。
普段どんなに泳ぎに自信がある人でも洋服を着たままでは溺れてしまう可能性が高くなります。
泳力が高いスポーツマンでも泳いで岸にたどり着くことが出来ないのは「服を着たまま泳ぐ」のがとても困難だからです。
しかも逆に泳げる人は「泳ごう」としてしまうために体力消耗で早く力尽きてしまうことが多いのです。
この着衣水泳、海外では小学生のうちに行なわれている国も多くあるそうです。
もうひとつ私が驚いたのは、それらの国は日本に比べて水難溺死者の数が大幅に少ないというデータがあること!
着衣水泳って50m正しいクロールで泳げるようになるという検定などよりはるかに大切なのでは?と思ってしまいますね。
溺れた時にはこの対処法!
もし洋服ののまま水に落ちたら、以下が命を守る大切なポイントになります。
溺れた時の対処 これが大事!
- 大声を出したりしてパニックにならず落ち着くこと
- 呼吸を確保し、水を飲まないようにすること
- 絶対に力を入れて泳がないこと
- 服や靴を脱がないこと(体力温存とケガの防止))
- 力を抜いて顔を立てて横に浮き、鼻と口だけは水面に出せるようにすること
- 背浮き(ラッコ浮き)をしながら助けを待つこと
これらが助かるためのコツになります。
この背浮き(ラッコ浮き)で東日本大震災の津波の災難にあいながらも命を守れた方がいるという話は有名になりました。
とにかく溺れそうになったら「浮いて待て」です。
また、溺れた人を発見したら周りの人が「いま助けるぞ」と水に飛び込むのは危険中の危険ですのでやめましょう。
周りにある浮きそうなものはなんでも溺れている人の近くに投げてつかまらせて「浮いて待て!」と叫んでください。
ペットボトルや周りにあるバッグ、材木などで良いです。
溺れている人を助けようと慌てて水に服のまま飛び込むのは命取りになりかねません。
溺れて苦しい人をただ見ているだけなんてできない!とは思いますが、確実に命を救いたいならやはり陸からの救助に限ります。
陸から声掛けをしたり浮くものを投げ入れている間に、電話で救急レスキュー隊を呼びます。
水難事故にあった人はプロの技術と装備で確実に救助してもらいましょう!
救助隊が到着するまでのおよそ8~9分間浮いて待てれば、溺れた人が助かる確率は格段にアップすると言われています。
誰かが溺れた時に周りの人ができる助け方は陸からの救助、これしかないと思っていて良いと思います。
着衣泳 講習のねらいは?
着衣泳の授業では「溺れたら泳がない、浮いて待つ」ことと「溺れた人を助ける方法」についてレクチャーと実際の体験講習があります。
自分が溺れた時や、溺れた人を見たらにパニックになって一番やってしまいそうなこと、これが実は一番やってはいけないことなんですね。
講習のねらいは、一般的に私たちが間違えて覚えていそうな方法を講習と体験で正しい知識に置き換えることです。
私は昔、九州の大きな川沿いに住んでいて、子どもの頃に服を着たまま何度か川で溺れかけたことがありました。
幸い水深がそれほど深くなかったので大人に助けてもらえましたが、少し深いところなら大人が一緒に溺れていたはずです。
服を着たまま水の中に入っては大人も子どもも同じように体の自由がききません。
その上、子どもにしがみつかれてしまったらその重みで、助けに来た大人は鼻も口も水中に沈んでしまい窒息してしまうでしょう。
水の事故では、溺れた本人でなく救助に向かった人が亡くなってしまう・・悲しいけれどとても多いケースです。
繰り返しますが、溺れている人を見たらまずは近くに助けを求め救急連絡、溺れている人には「浮いて待て」と声をかけるのが一番です。
その際には近くにある浮きそうなもの、材木、ペットボトル、バッグ、ランドセル、なんでも投げ込んでつかまらせます。
その間に助けを呼び、救助に必要な装備をすべて用意した水の事故のプロにレスキューはお任せしましょう。
溺れている人は陸から救助、これが安全に助け助かる大原則になります。
着衣泳講習のメリットは?
その後、私は大人になってからも仕事の関係で着衣で泳ぐという研修を受けたこともあります。
当時、水着なら1kmでも楽に泳げましたが、服を着ているとまず水面に浮かぶことすらできません。
泳ぎ始めても服がまとわりつき、泳ごうとすればするほど、どんどん水の底のほうへ引きずり込まれてしまいました。
特に流れがある場所では袖が下流に引っ張られるため、力を入れればいれるほど体力がどんどん奪われパニックになってしまったのです。
水の事故にあってしまったら泳ごうとしてはいけません。
まずは力を抜いて呼吸を確保しながら背浮きで助けを待つ、これが鉄則だと思います。
そして、この経験から溺れた時には泳がず浮いて待つことを子どものうちに身に着けることが万一の際に命を救うことにつながると強く感じます。
大人が同行しない水のレジャーに出かけはじめるのがだいたい中学~高校生頃ですね。
水難事故の怖さや服のまま溺れた時の対処法、溺れた人の正しい助け方を小学生までに着衣泳で習うことはメリットがとても大きく大切です。
うちの子どもたちの小学校では9月に着衣水泳の授業があります。
もっとたくさんの人に命を守るためには大切な着衣泳の講習を受けてもらいたいと願っています。
ご参考になれば幸いです。