朝に疲れで起きられない! 原因不明の体調不良は副腎疲労かも
毎日忙しさやストレスとも闘いながら頑張って過ごしていませんか?
ちょっとムリしても大丈夫、自分は体力もあるから倒れることなんてないし!
そんな普通の人がある朝突然ベッドから起き上がることが出来なくなるほどのひどい疲労感に襲われて寝込むことになります。
そしてちょっと休めば大丈夫!と思っていても、そのひどい疲れは休んでもあくる日もまたやってきて・・・。
ついに仕事や家事、プライベートもままならなくなり、極度のだるさ、無気力という心身ともにボロボロという状態に。
思い当たるならうつ病と間違えられやすいある病気が隠されている可能性があります。
突然朝起きられないほどの疲れが
Aさんは34歳の時、外食チェーン店で毎日チーフとして働き多忙を極めていました。
時間も不規則、勤務もハードでしたがやりがいのある仕事と責任感を持って一見したところ毎日元気に働いていました。
ところがある朝起きようと思っても起きられないという事態が起こります。
朝起きたばかりなのにすでに体が鉛のように重く、ひどい疲れを感じてまたベッドに横になりました。
「きっと今までのたまっていた疲れがでたんだな。今日1日寝ていれば大丈夫だろう。」と勤務先に欠勤の電話をします。
そしてこの電話から1年間、Aさんは働きに出かけることはありませんでした。
毎日何もしないうちから起きられないほどの疲れ、少し動けば極度の倦怠感でフラフラし、一日中眠気とだるさがAさんに付きまといます。
その体調不良から、無気力、自己嫌悪、気分の落ち込み、無性に悲しくなるなど精神的にもふさぎ込むようになってしまいました。
人間ドッグでも悪いところは見つからず、病院へ行けば「うつ」と診断され、薬を飲みますがまったく良くなりません。
ついには歩くこともままならなくなったAさんは、ただ命をつなぐために食料を買いに近くのコンビニへ行くことだけしかできなくなりました。
コンビニまで200m位の距離ですら、何かにつかまりながら、何度も座って休みながらたどりつくのがやっとでした。
家へ戻ってベッドに倒れこむように横になり「もう自分はこのまま死ぬんだな」と毎日涙が止まらなかったと言います。
うつ病の苦しい症状と似た副腎疲労
このひどい疲れ、倦怠感、やる気がでない無気力、気分がふさぎ込むなどの症状は一見「うつ」の典型症状に見えます。
しかし、Aさんを苦しめていたのは、
副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)という病気でした。
副腎は左右両方の腎臓の上に乗るように位置する3~4cmの臓器です。
この小さな副腎と言う臓器は体内の血圧や水分、塩分量、血糖などを調整しています。
いつも私たちの身体を元気な一定の状態に保つホルモンの分泌を司る大切な役割を担っているのです。
副腎疲労とは身体にストレスがかかることにより副腎の負担が大きくなり、副腎が疲弊することで多様な全身症状が現れるものです。
副腎は「コルチゾール」というストレスに上手に対処してくれるホルモンを分泌しています。
連続的に強いストレスに対処するために過剰なコルチゾール分泌を余儀なくされた副腎は弱っていき、ついにはコルチゾールが十分に出せなくなります。
すると、コルチゾールが担っていた体の修復が間に合わなくなり、ある日突然多様な原因不明の症状が現れることになります。
コルチゾールは身体と心を元気に保つために必要な大切なホルモンです。
この元気の素であるホルモンがうまく分泌されないと当然、体調不良と精神面での不調が続くことになります。
副腎疲労の最も顕著な症状は極度の疲労感です。
人間ドッグに入っても異常がない健康体に見えたとしても、身体的にも精神的にもいつも耐え難い疲労感に悩まされます。
脳疲労をともなうことからボーっとしたり、物忘れがひどくなったり、やる気がなくなって無気力が続くなどの症状も起こります。
副腎疲労は改善できる
ではどうすれば副腎疲労を予防し、改善することができるのでしょうか?
それには、コルチゾールを無駄遣いしない、副腎に負担をかけて疲労させない生活をすることにつきます。
逆に言えば手術も何も必要ない、生活の見直しとセルフケアだけで回復が期待できる病気です。
副腎疲労を誘発するのは過剰なストレスに他なりません。
この副腎疲労の原因となるストレスは具体的に以下のようなものです。
- 多忙な仕事、不規則な生活
- 睡眠不足
- 人間関係の悩み
- 受験期などの緊張
- 将来や生活への不安
- 糖・乳製品・ジャンクフードのとりすぎ
- カフェインのとりすぎ
- 魚を食べるなどによる重金属の体内蓄積
- 過剰な運動量または運動不足
- 感染症による体力消耗
これらを生活の中からできるかぎり少なくしていくことで副腎疲労から回復し、元気を取り戻すことが大きく期待できます。
副腎を疲労から回復させるためのケア
- 十分な睡眠の確保(昼寝もOK)
- 不安や心配、ストレスの除去
- 食べ過ぎない栄養バランスのとれた食事
- サプリメントでの栄養補給
- 糖質、カフェインの摂取を減らす
- 適度な運動習慣
何より大切なのはストレス要因を減らし、良く眠ることです。
体の修復機能が高まる睡眠の時間が少ないのは良くありません。
夜はできる限り早く寝て体をしっかり修復と調整し、昼寝もうまくして副腎を休ませましょう。
食事面ではビタミンB群を意識的にとり、くれぐれも食べ過ぎに気をつけてバランスよく食べましょう。
食べ過ぎは内臓へ思わぬ負担をかけ、消化活動で内臓が休まらず疲労が蓄積する原因となります。
糖やカフェインはすぐに断つ必要はありませんが徐々に減らしていく努力が必要です。
また、副腎疲労はまだ医学的に認められておらず、正式な病名ではありません。
町のお医者さんでは対応するのが難しい場合が多く、副腎疲労に詳しい医師や副腎疲労専門医がいる病院での診療となります。
セルフケアで改善が難しいほどの症状に悩まされている場合は、専門医のいる病院に事前に費用などについて問い合わせてみてください。
食事改善が効果あり
Aさんは1年間ひどい疲労感で寝たきりで過ごし、「このまま生きていても・・・」とただふさぎ込んで毎日を過ごしていました。
もはや体力も気力も尽き果てかけていたので生への未練もありませんでしたが、田舎の両親には申し訳ないと涙が止まらなかったと言います。
1年を経過した頃、友人のすすめがきっかけで断食や瞑想の本を読み、ここに救いがあるのではないかとひらめきます。
コンビニで買っていたジャンクフードの食事と暴飲暴食をやめ、家で重い身体を引きずりながらできる限り自炊して質素な和食を作って食べるようになりました。
つらい気持ちを紛らわせるために1日1枚以上食べていたチョコレートもやめ、コーヒーも断つことに。
食べ過ぎの生活とコーヒーやお酒、チョコレートなどの刺激物をやめ腹八分目の健康的な食生活に改善したことが効果的に働きました。
心を空っぽにし、ストレス解消にとても効果があると言われる瞑想も毎日寝たままでつづけました。
やがて寝たままでしかできなかった瞑想が、ベッドに座ってできるようになったのです。
徐々に、ほんとうに少しづつですが元の元気を取り戻しつつあることが実感できたAさん。
前の職場は退職していましたが、起きられなかった朝から1年後にようやく昼間だけの仕事へ復帰することができました。
現在は結婚して睡眠と食事、運動に気をつけながらとても健康的な毎日を過ごしています。
もし、Aさんと同じような原因がわからないひどい疲労感に悩まされているのでしたらぜひ生活改善とセルフケアで副腎をいたわってみてください。
もとのような元気で充実した日々を取り戻せるよう祈っています。