読書感想文の例 小学生から中学生の書き方と例文はこちら
2017/07/25
読書感想文は小学生から大人になるまでずっとさまざまなところで課題となるものですね。
本を読み、理解し、色々な気持ちを感じ、それを文章に表すというとても能力が高まり、心と表現が豊かになります。
今回は日本文学不朽の名作を例にとって小学校3~4年生用と5年生以上高学年~中学生の読書感想文の参考例をご紹介します。
◆小学低学年の読書感想文はこちら
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」は短編ながら内容が深く、読書感想文には最適な本としておすすめです。
小さい子から小学校低学年までは絵本、その後も大人になるまで文庫などで長く読み継がれている名作です。
読書感想文 小学3年生~4年生への文例
小学生の中学年ではほぼ文や挿絵の地獄の描写から「怖さ」を感じるようです。
悪いことをするとこんな怖い地獄へ行く、でも善いことをすると地獄から極楽へ行けるチャンスがあると読み取ります。
そこで自分一人が良い思いをするために他人への思いやりを忘れた行為をするとまた怖い地獄へ落ちるという「勧善懲悪」のお話しとして読むのですね。
日頃の心ばえや行為への戒めと善い行いへの動機付けとなるストーリーとして読書感想文を仕上げるのが一般的と言えるでしょう。
たいてい、
- 「悪人でも善いことをすれば助かることがあるんだ」
- 「カンダタはかわいそうだけどやはり自分が悪い」
- 「せっかく地獄から天国へ行けるチャンスだったのに」
- 「ひとりだけ助かろうとしたから失敗したんだ」
- 「自分さえ助かればいいと悪い心が見つかってくもの糸が切れたんだ」
というように、主人公であるカンダタが他の罪人たちを落としてでも自分だけが助かろうと思った気持ちや言動について批判的な感想を持ちます。
利己心は醜く、良くない気持ちだと言うことが読みとれていれば、読書感想文として立派に成立させることができるでしょう。
「自分さえよければいいという考えは悪いこと」
「自分は善いことをたくさんしよう」
というようなゴールになります。
氏名 ○村A太
「カンダタ、もう少しで地ごくからぬけ出せそうだったのに、なぜ他のつみ人たちに『下りろ』なんて言ったの?」
ぼくは「くもの糸」を読んだとき、思わず主人公のカンダタにそうさけびたくなりました。
もう少しでおそろしい地ごくからごくらくに行けそうだったのに、カンダタはまた地ごくへ落ちてしまったからです。
悪いことばかりして地ごくに落ちたカンダタにも一度だけくもの命を助けると言う良いことをしたことがあります。
それを見ていたおしゃか様が地ごくに落ちたカンダタにすくいのくもの糸をたらしてやったのでカンダタは上へと登り始めました。
でもカンダタが下から糸をのぼってくる他のつみ人たちに「下りろ、このくもの糸はおれのものだ」と言ったとたんにくもの糸が切れます。
他のつみ人たちもカンダタと同じようにの山や血の池のおそろしい地ごくからくもの糸でぬけ出してごくらくに登りたいはずです。
けれどもカンダタは他の人たちがつかまって重くなった糸が切れて自分がまた地ごくに落ちるのがいやだったから大声で「下りろ」と言いました。
他のつみ人たちはまた地ごくへ落ちても良いから、自分だけがごくらくに行きたいと思ったのです。
またカンダタが地ごくへまっさかさまに落ちたのはかわいそうでしたが、カンダタは自分勝手だからばちが当たったのかなと思いました。
この本を読んで自分だけが助かりたい、自分さえよければいいという勝手な考え方がとてもいけないことだとわかりました。
ぼくは、暗くてこわい地ごくには行きたくありません。
これからたくさん良いことをしようと思います。
カンダタのように自分だけが良ければいいという悪い気持ちをもたずに、ぼくはまわりの人のこともきちんと思いやれるようになりたいと思いました。
<719字>
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読書感想文 小学5年生以上への文例
小学5年・6年生または中学生以上になってくると自分の世界が広がり、多面的に物事をとらえることが得意になってきます。
大人でも小さいころに読んだ本を読み返してみると、同じ本を読んでも新しい視点や気持ちがわき起こって驚くことがありませんか?
「蜘蛛の糸」を読んでも、「悪いことをしたからばちが当たった」というような単純な図式からもっと広がりをみせた感想を持つお子さんが多くなります。
例を挙げると
- 地ごくへ逆もどりしたのは因果応報なのか?
- おしゃか様はひょっとしてカンダタを試したのかもしれない
- 最終章で極楽のハス池のハスの美しさが物語をいっそう切なくする
- 利己心の悲しさや弱さを人間らしいと感じる
- 自分だったらどのような行動をしただろうか?
- 心が痛む部分もあるが感動した
というように、とてもこの短いストーリーを深く読み込みひとつの貴重な心の体験をするお子さんも多くなります。
とはいえ、感じ方もとらえ方も千差万別、正解はありませんので思ったままを感想文に表してみてください。
氏名 ○山N美
この「くもの糸」は知らない人がいないほどの名作だと聞いていたのでずっと読みたいと思っていた。
芥川賞というすぐれた文学作品におくられる賞は、このくもの糸の作者である芥川龍之介を記念して名前がつけられたと聞き、芥川龍之介がすごい作家なのだということもわかった。
そしていざ本を開いてみるとたった10分ほどで読めるほど短い物語だとわかりおどろいた。
もっとびっくりしたのが地ごくのえがかれ方だ。
生きている間に悪いことをした罪人たちが血の池や針の山で苦しみ続ける様子や絵がリアルで本当におそろしかった。
もし自分がいまそんなおそろしい地ごくにいて、極楽へつながる光るくもの糸が垂れてきたらどうするだろう?
もちろんなりふりかまわずその糸へすがりついて全速力で登るに違いない。
そして同じようにその糸をたぐって地ごくからはい上がろうとする罪人たちが何千人もうようよぶら下がってきたら?
細いくもの糸が重みにたえられなくなって切れてしまったら自分もまた地ごくへ落ちてしまう。
そんなことになっては絶対に困る。
自分はどうしても助かりたい、地ごくへまた逆もどりはごめんだ。
私もカンダタと同じように自分を忘れて下の罪人たちに「下りろ」と叫んでしまうかもしれない。
このくもの糸は自分だけのものだ、じゃまするな!と糸をひとりじめして他の人のことは考えられないのではないかと思う。
いつも自分さえよければいいという考えはいけない、他の人へ思いやりを持つべきだと言われるし、そう思っている。
でも、命がかかったような危険な時があれば、私も自分だけ助かればいいと思ってしまうかもしれない。
カンダタは思いやりがなくて自分勝手だからおしゃか様が極楽には来られないようにくもの糸を切ってしまったのだと思う。
けれども、いざとなって自分もどうしても助かりたい時にはカンダタと同じような行動をとってしまうような気がする。
私にはカンダタが自分勝手な悪い人というよりは、人間らしい人に思える。
くもの糸をたどって他の罪人たちと一緒に助かろうと思わなかったのは確かに思いやりがなくて心がせまい。
けれども、「カンダタはひどいやつだ、自分なら他の人にもくもの糸を使わせてやったのに。」と自信をもって言える人はどれくらいいるのだろうかと疑問だ。
私はこの本で芥川龍之介が言いたかったのは「他の人への思いやりをもとう」ということではないように感じる。
ほとんどの人は自分勝手は良くないし、周りの人へ思いやりを持つことが大切だとわかっている。
わかっていてもいざとなると自分さえよければと行動してしまう人間の弱さをあらわしたかったのではないだろうか。
「くもの糸」は大人になってまた読み返したい作品のひとつだ。
大人になった時、私はカンダタの行動をどのように感じるかも楽しみである。
<1147字>
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読書感想文の書き方の簡単なコツ パターン通りにスラスラ書ける
読書感想文 字数のポイント
読書感想文への字数が決まっているときは、規定字数の80%以上を目安に最低60%以上の字数はは書きましょう。
以上の「蜘蛛の糸 読書感想文」は目安でありご参考としての感想文です。
読書感想文に感想の決まりや正解はありませんので感じたことを自由に書いて/書かせてあげてください。
またいろいろな本を読んで感想を家族や友達と交換することも心の世界が広がりますのでぜひ話し合ってみてくださいね。
ご参考になれば幸いです。